各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

東京·港区にある国立新美術館にて、2017年9月4日(月)まで、20世紀を代表する彫刻家、アルベルト·ジャコメッティの日本最大規模となる展覧会「国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展」が開催されています。

スイスに生まれフランスで活躍した彫刻家、アルベルト·ジャコメッティ。スイスの100フラン紙幣には彼の肖像や彼の作品「歩く男」が印刷されるなど、その名は広く知られ、紛れもなく、20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家の一人として位置づけされています。
他にはない独創的なフォルムの彫刻は、見ることと造ることのあいだで葛藤しながら、虚飾を取り去った人間の本質を徹底的に追及した末に生まれたかたち。人間の存在そのものを極致まで突き詰めた、インパクトの強い特異な造形は、20世紀の彫刻に新たな地平を切り開きました。

アフリカやオセアニアの彫刻、ピカソやブラックが主導したキュビスム運動への傾倒、そしてシュルレアリスム運動など、同時代の先鋭的な動きを余すことなく吸収したジャコメッティは、モデルと向き合いながら独自の造形スタイルを生み出していきます。それが、彼の代名詞といえる針金のように身体を細長く引き伸ばした、まったく新たなかたちの彫刻でした。

各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

《歩く男Ⅰ》1960年 ブロンズ 183×26×95.5cm
マルグリット&エメ·マーグ財団美術館、サン=ポール·ド·ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint Paul de Vence(France)

1935年以降、ジャコメッティはこれまでのオブジェを組み合わせた彫刻作品から方向転換し、人物モデルを題材にした彫刻を試みるようになります。
やがて空間と人体の関係を探り始めると、胸像や人物像は収縮し、土台となる台座が大きくなっていきました。
さらに、自らの記憶を頼りにした制作を試み、彫像はマッチ棒ほどのサイズにまで小さくなります。
その後、ジャコメッティの彫刻は高さを取り戻しますが、現実に近づこうとすると、今度は細長くなっていきます。

彼の作品を象徴する細長い造形は「女性立像」「歩く男」「指差す男」「倒れる男」、そして一つの台座に複数の人物を配した群像など、さまざまなバリエーションとして展開されました。

各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

《大きな像(女:レオーニ)》1947年 ブロンズ 167×19.5×41cm
マルグリット&エメ·マーグ財団美術館、サン=ポール·ド·ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint Paul de Vence(France)

各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

《犬》1951年 ブロンズ 47×100×15cm
マルグリット&エメ·マーグ財団美術館、サン=ポール·ド·ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint Paul de Vence(France)

各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

《3人の男のグループ(3人の歩く男たち)》 1948/49年 ブロンズ 72×32×31.5cm
マルグリット&エメ·マーグ財団美術館、サン=ポール·ド·ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint Paul de Vence(France)

モデルの顔を「見える通りに」捉えるという、簡単そうに思えて実際には不可能なほど難しい、目の前にある「存在」の実体を探求し続けたジャコメッティ。
消しては描き、描いては消す、形成と破壊の繰り返しという、試行錯誤の連続に最も忍耐強く、献身的にモデルを務めたのが、弟ディエゴと妻アネット、そして親交のあった哲学者であり友人の矢内原伊作でした。特に矢内原をモデルとした長期に渡る制作活動は、ジャコメッティに多大な刺激を与えました。

モデルを前に、あるいはモデルの記憶を頼りに人物を描き、多くの彫刻作品を制作したジャコメッティ。
本展では、アトリエの内部やモデルとの制作の様子を表す貴重な素描や版画、記録写真なども展示され、類まれなる才能をもった彫刻家の創作の秘密に迫ります。

各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

《ディエゴ》1949年 鉛筆、紙 53.2×37cm
マルグリット&エメ·マーグ財団美術館、サン=ポール·ド·ヴァンス
Photo Claude Germain Archives Fondation Maeght, Saint Paul de Vence(France)

また、チェース·マンハッタン銀行からの依頼を受けて、ニューヨークの広場のためのモニュメントとして制作された「歩く男I」「女性立像II」「大きな頭部」の3点の大作も大きな見どころの一つです。

最終的にこのプロジェクトが実現することはありませんでしたが、最晩年のジャコメッティの壮大なスケールによる挑戦を目の当たりにすることができます。
とりわけ「歩く男」はジャコメッティの作品の中で最も広く知られる代表的彫像。極限まで肉体をそぎ落としたギリギリの量感、見る者を圧倒するリアルな存在感、ひときわ異彩を放つジャコメッティの傑作彫像を間近でじっくりと眺めることができるまたとない機会です。

各年代の代表作が集結。過去最大規模の大回顧展「ジャコメッティ展」

マーグ財団美術館の中庭に立つジャコメッティ
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence(France)

本展は、日本で開催されるジャコメッティ展としては11年ぶりの個展であり、初期から晩年まで、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点、計135点ものコレクションの数々が出品される大回顧展。
生涯をかけて人間の本質を追及した偉大なる彫刻家、ジャコメッティの全貌に迫る過去最大規模の展覧会です。

国立新美術館開館10周年「ジャコメッティ展」

会期:2017年6月14日(水)~9月4日(月)

会場:東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館 企画展示室1E

時間:10:00~18:00 ※金曜日、土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)

休館日:毎週火曜日

観覧料:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円

※中学生以下無料、障害者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料
※2017年8月2日(水)〜8月7日(月)までは高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)

http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/